モモパンマン

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「ねー、今日ホラゲーしない?」 「無理」 「じゃあギャルゲー?」 「無理」 「…はっ! BL「無理」 マ! 気難しいんだから! 放課後。気難し屋の親友とだらだら駄弁中。 いつ誘ってもNOばかりで一向にOKしてくんないのは何でだろうね。 親友は鬱ゲーの方が好きなのかな…。 次からは鬱も視野に入れとこっと決めて、教室の後ろ扉が開いた。 そこには服装が乱れた転入生クンと少しやつれ気味の爽やかクンが。 「んわ、二人ともおかえり〜!」 この疲弊感的に生徒会の親衛隊総出(一部過激派)で追いかけられたっぽいね。 その証拠に午後授業から親衛隊に所属してるチワワ顔風の生徒らは早退してた気がする。 どーなってんだこの学園。 「…それより君、教室でなに見てるの?」 「なにって…グラビア?」 ロッカー横に隠れてた今月号のグラビアを広げてれば冷ややかな視線。 「胸は小さい奴のがタイプだわ」 乱れた服を直しながら転入生クンは今開いてるページの子を指さし、髪はセミロングがいいって付け加えた。 案外ノってきた彼を意外に思うけど俺は強いて言うと6Pの子が好みだったりする。 ショートカットで清楚な真面目委員長系! グラビアの時点で清楚ではないけども。 「爽やかクンもタイプとかある?」 「特にないけど好きになった子…かな」 「爆ぜろ〜〜!!」 「は?」 ッァ、つい本音が。 「だってキザすぎて…親友でさえもタイプあるからさ。でも人はそれぞれだもんね! ごめんねキザクン」 「なんだろう。凄く殴りたいな」 「爽やかクンの裏の顔ってDQN…ごめんね」 油断して避け忘れた手が面の横を掴んでメキョ。突然の危機に咄嗟に謝れば「いいよ」と容易く手は離れてくれた。 爽やかな顔して暴力的なのって一段と恐怖地上がるけど、一定の層にはギャップメロ〜! で萌えそうだね。 地雷になり得そうな雑誌は元あった場所に戻して、俺はふと思い立った。二人の好感度をせめて一般的にする方法を。 あ、転入生クンが手にしてる三角コーンは見ないふりの方向でね。あれは多分残骸だから。 「急なんだけどさ、今日親友とお泊まり会するんだけど転入生クンたちも来る?」 いつの間にかうたた寝してた親友の肩に手を置いて、俺は明るく誘ってみた。 そのとーり。お泊まりで親密度を上げよう大作戦てやつ!! 我ながら妙案だね。得意げになれば思案する仕草をしてから二人は見合って少し笑った。 「特に用事もねえしな」 「何気に誰かの部屋に泊まるって初めてだな」 乗り気な返答にくふふ、とほくそ笑んでから俺は親友のおでこを軽めにデコピンして起こした。 今日何度か見捨てられた憂さ晴らしなんてことは余裕である!
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