802人が本棚に入れています
本棚に追加
その笑顔
「大丈夫ですよ、ジュードさんなら」
蜂蜜色のフワフワした髪。
若葉のように柔らかな緑の目。
とれたてのサクランボようにみずみずしい唇。
あたりまえのように俺を信じているという感情が、温かな声にのせられている。
「信じてますから、私を守ってくださいね。私の、最強の盾」
「任せろ、リタには傷ひとつおわせない。だから帰ったら……」
「帰ったら?」
「それはこの窮地を乗り越えたら話すよ」
リタの口が少し不満げにとがる。
「もう、ジュードさんの意地悪。でも…信じてますからね」
俺の肩にそっと手を当て、体を押しつけてくる。
心地よい体温とともに、柔らかな胸があたり、思わず顔がにやけそうになるのを、あわてて気持ちを引き締める。
「向こうの攻撃はもうすぐ終わる。それが終わったら、こっちのターンだ。それまで、絶対俺の後ろから出るな」
「はい」
「その後は、リタの出番だ。任せるぞ」
「はいっ、頑張ります!」
いつもほわりと緩んでいる口元がきゅっと引き締まって、まるで別人のようにみえてくる。
耐えることがないと思っていた攻撃が、いきなり止んだ。
「そら、むこうはもう魔力がつきたようだ……行くぞ!」
「はいっ!
俺は愛用の盾にはめられている魔石に触れた。
「行くぞ……最 大 反 射 !!」
最初のコメントを投稿しよう!