文章を書く、文章を読んだせいで。[忘備録]

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「ドア」 1d2154e1-62d5-48f3-ad9f-05555bbfd3a1 コロナ禍で一歩も県外に出ずに2020年が終わろうとしていて、 平たく言えばものすごく旅行に行きたい。今人生で一番旅行に行きたい。 私ってこんな旅に出たい人間だったんだ、という新発見の驚きがある。 初めて一人で旅行したのは4年前で、それ以前に旅行といったら小学と中学の修学旅行しか行ったことがなかった。 初一人旅はイベントに参加するために夜行バスで東京に行ったのだが、東京という地への興味も憧れもなく、 イベント以外何をしたらいいのかまるでわからなかった。 夜行バスが朝の新宿に着き、新宿駅を散策し、田舎者らしく人の多さに圧倒され、近くのカフェで軽食を取り、新宿御苑で暇をつぶして、 この旅行のために買ったばかりのキャリーバッグを引きずりながら山手線に飛び乗り、ホテルを取っていた上野で降りた。 チェックインの時間まで1時間半ほど暇があり、上野周辺を目的も計画もなく一人キャリーバッグをゴロゴロ鳴らしながら、家族連れや観光客を縫うように歩いた。 それが楽しかった。それだけでめちゃくちゃ楽しかった。ホテルのチェックインの時間が迫るのが悔しくて、上野だけで丸一日潰したい欲求に駆られた。 次の日、上野のホテルをチェックアウトし、東京に住む友人とご飯の約束のため地下鉄の駅(名前は忘れた)に向かう途中、偶然アメ横を通りがかった。 開店前の店が連なるアメ横は、ケバブ屋だけが賑わっていた。 ご飯の約束がなかったら食べたのに。これもまた予想外の悔しさだった。 それ以降、年に最低1回は旅行に行くようになった。 (なんだかんだでまだ上野リベンジは達成しておらず) 「インドア」と「アウトドア」という言葉がある。どちらか聞かれれば迷うことなく「インドア」と答える。 自粛期間家に籠もっていてもなんの苦もない。PCとスマホさえあれば半永久的に暇をつぶせる人間だ。 ずっとそう思っていたし、自分の部屋が一番好きだし、それなのにたった1年間県外に遊びに行けないっていうだけでこんなにももどかしい気持ちになるなんて。考えもしなかった。
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