015:走り続けたその先には

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「エアリス!ど、どうしたんだ!?」 「ガーランドさん、戻って来たわ。」 母さんは本当に足が早い。 そういえば、山道も平気で進んでた。 こんな山の中で育ったから、きっと母さんは足腰が丈夫なんだ。 僕がようやくガーランドさんの家に着いた時には、玄関先で母さんが体格の良い初老の男性と話してた。 「ガーランドさん、息子のシンファよ。」 「シ、シンファです。 初めまして。」 まだ息も整っていないうちに、母さんは僕をガーランドさんに紹介したから、僕は苦しい息のまま挨拶をした。 「おまえにこんな大きな息子がいるなんてなぁ……」 ガーランドさんは、そう言いながら僕のことをじっとみつめてた。 「おまえによく似てるな。」 「そう?でも、この子の性格は父親似よ。」 「そうかい。 ……ま、とにかく中にお入り。 遠い所を大変だったな。」 * その晩、僕達はガーランドさんの家に泊めてもらった。 母さんの家は近くだけど、長年放置してるからどうなってるかわからないからと言って…本当は見るのが怖いんだと母さんは言い直した。 きっと、怖いのは家のことじゃなくて、母さんのせいで村を離れた家族のことを思い出すことが怖いんだと思う。 ガーランドさんの話によると、母さんの家族は、母さんが村を出てすぐにここを離れたらしい。 やっぱり、村の人達に会わせる顔がなかったんだと思う。 母さんは、家に戻ると、その現実と向き合う事になるから、それで怖いんだ。 「母さん…家は明日僕が見て来るよ。 いつまでもここにいさせてもらうわけにはいかないし、なんとか住めるように片付けてみるよ。」 「……私も一緒に行くわ。 この前は入る勇気がなかったけど……今度はあなたが一緒だから。」 母さんはそう言って、僕の両手にそっと手を重ねた。 「……うん、じゃあ、一緒に行ってみよう。」 これは、僕が考えてたよりもずっと長い間ここにいる羽目になりそうだ。 いや、それよりもこの状況を、母さんと僕とガーランドさんの三人だけでなんとかすることが出来るのか…… 今の僕には全然自信はなかった。 とてもじゃないけど、無理そうだ。 でも、だめだとわかったら、母さんも諦めてくれるかもしれない。 なんなら、ガーランドさんも説得して、僕達の村に連れて行ってあげよう。 僕は、そんなことを考えながら、長旅で疲れた身体をベッドに沈めた。
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