015:走り続けたその先には

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* 「か、母さん!」 「どうしたの?シンファ…」 「あ、あそこに人が……!」 「人……?」 母さんは、僕の言うことを疑うような声を出し、僕の指差す方向に顔の向きを変える。 「まぁ…!」 僕の言ったことが本当だとわかった母さんは、目と口が大きく見開きその方向をじっと見ていた。 次の日の朝、僕と母さんが水を汲んで戻って来る時、僕は遠くに人影をみつけた。 髪が長いから女性のようだけど、なぜだかその人は地べたに座りこんであたりを見渡している。 ここには、ガーランドさんと僕達しかいないって聞いてたから、僕は本当に驚いて…… 「シンファ…行ってみましょう! もしかしたら、ここの住人が戻って来たのかも知れないわ!」 「まさか……」 母さんは僕を振り返ることもなく、どんどん走って行く。 相手が誰なのかもわからないのに、無鉄砲っていうのか、好奇心が強いっていうのか…… 僕は足の早い母さんの後を懸命に走った。 近付くにつれて、相手の正体が少しずつわかって来た。 相手も僕達が走って来るのに気付いて、立ちあがり、怯えるような様子で少しずつ後すざりして…… その人は、よく見ると男性だった。 僕よりは年上のようだけど、腰のあたりまで伸びる金色の髪がしなやかで、顔も整っていて女性的だ。 背は高いけど身体つきはとても華奢で、それがどこか不自然に感じられた。 「こんにちは。 あなた、旅人さん? ここへは迷いこんだの?」 息を弾ませたまま、母さんはその人にそう尋ねた。 「え……そ……そうかな……」 不安げな声…目には落ちつきがない。 薄い生地で作られた白いローブは、今、座っていたせいで茶色くはなっていたが、着古した感じは少しもないし、荷物さえ持っていない。 とても旅人には見えない出で立ちだ。 だから、ごく近くから来たんじゃないかと僕は推測した。
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