015:走り続けたその先には

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* 「母さん、あれ見て…」 「まぁ…一体、だれかしら?」 ある日、また村に新たな訪問者が訪れた。 今度は明らかに女性だ。 畑で働く僕らのことをすぐにみつけて、大きく手を振っている。 「シンファ、行ってみましょう!」 母さんはそう言うと、その場に鍬を放り出して駆け出した。 「か、母さん…!」 僕もまた同じようにして母さんの後を追った。 女性も僕達に向かって走って来て……そのおかげで僕達は程なく合流した。 「こんにちは! いえ、初めましてですね! でも、驚いた! ここには伯父しかいないって聞いてたから…」 女性は大きな荷物を背負って走って来たにも関わらず、たいして息も上がらず、屈託のない笑顔を浮かべてそう言った。 「伯父さん…? じゃあ、あなたはもしかしてガーランドさんの姪御さんなの?」 「はい! ガーランド伯父さんの弟の娘のモニカです。」 「そうなの…私はエアリス。 この子は息子のシンファよ。」 「息子さん!?まぁ…… 弟さんかと思いました。」 お世辞なのか本当にそう思ったのかはわからないけど、母さんはモニカのその言葉に、ちょっと嬉しそうに微笑んだ。 「ガーランドさんは、今は家にいると思うわ。 こっちよ。」 僕達は、モニカを連れ、ガーランドさんの家に向かった。 モニカは年は僕と同じくらい…健康そうで明るい感じの女の子だ。 全く人見知りをしない性格のようで、母さんと友達みたいに話してた。 ガーランドさんはモニカのことをまるで知らなかった。 なんでも、弟さん一家が村を出てからモニカが生まれたらしく、モニカとガーランドさんは今日が初対面だということだった。 モニカは両親からこの村のことを聞き、ずっと気になっていたのだという。 そして、大人になってもその気持ちは少しも変わらず、この村の再建の手伝いをしにここへ来たんだと言った。
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