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魔力判定の儀式の日は朝が早い。
いつもより1時間、いや、2時間くらい早く起きて朝からお風呂に入れられる。
そして、ちょっと綺麗な服を着させられた。
朝ごはんを食べて、本日の主役のお兄ちゃんは魔力測定の部屋に連れて行かれるのだが、魔力測定とはまだまだ縁がない私が忙しいのはここまで、あとは昼から行われる家族パーティーと夜に行われるお披露目パーティーに出席するだけだ。
私の出番はない。
「うー」
そんなこんなでお兄ちゃんの大事な日でもすることが無いので図書室に来た私。
どうせ私は魔力測定の部屋に行けないもん。
測定される本人とその両親しか入れないんだから。
後で来るとも言ってたし、動かないのがお兄ちゃんのためだもんね。
私は最近、1日1冊読めるようになった。
でも今日は昨日ほど暇じゃなさそうだから、内容の軽そうな本にしてもらった。
普通なら、読み切るのに3時間もかからないくらいの量だ。
「あー」
「喉が渇いたのですか?少々お待ちください」
そう言って少し図書室を出て戻ってきては、手に持っている水を飲ませてくれる。
「あばー」
「小腹がすいたのですか?はい、これをどうぞ」
1歳児用の丸ボーロみたいなお菓子を口の中に入れてくれる。
いや、ミアは私が読書に集中出来るようにっていう気遣いなんだろうけど、声一つで私の状況を察すミアってすごい。
私の言いたいことを理解してくれるメイド長も凄いけど、あの人もここまではないでしょ。
「リーズーリーエーラー!」
私が本を読み始めて丁度3時間、もうすぐ読み終わるというところでお兄ちゃんが来た。
その様子だと、どうやら測定結果は良かったらしい。
「ねぇ聞いて!僕、水と、光と、風があったんだ!」
「ばぁー!」
ニコッと笑ってみせる。
乳幼児特有の笑い方だが、お兄ちゃんは満足したらしい。
「見てミア!リズの足くるくるしてる!嬉しいんだって!」
「ええ、ディノス様が素晴らしい結果を出されたんですもの。きっとお嬢様にも伝わってるんだと思いますよ」
「そうだよね!」
お兄ちゃんの明るい水色の髪がぴょんぴょん跳ね、深い青色の目が嬉しそうに細められる。
お兄ちゃんが嬉しいのは私も嬉しいけど、ここ図書室だから、そんなに飛んだらホコリが――――
「けほっ、けほっ」
「お嬢様!?」
「あば?」
大丈夫な雰囲気に装ったけど、ミアには昼間で寝てろと言われてしまった。
私がホコリが駄目なことと、ミアが凄く過保護なことが分かったから収穫はあったかもしれないけど、まだ、昼まで2時間あるからね?
私、本も取り上げられて、凄く暇だよ。
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