Episode 1.

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夕方、私は地下室に向かった。 お兄ちゃんがね、どうしてもお見送りをしてほしいんだって。 そしたら今日の夜は頑張れるって言ってた。 そんなことで頑張れるならやるし、お父さんの期待の目もあったから行くけど、私行かないでも頑張れるようになってね? シスコンのお兄ちゃん? 「お兄ちゃん、父様と母様と、一緒に行ってくるね」 「リズリエラ、私達が帰ってくるまで、いい子にしていてね。メイド達に迷惑をかけては駄目よ」 「行くぞ。遅れる」 グレートソーシャルへは魔法で飛んでいくらしい。 足元には魔法陣がある。 この間、ちらっと本で見たんだけど、魔法を使いまくれるのって、貴族だけで、平民に魔力などほぼないらしい。 だから、魔法陣は持ってるだけで凄いんだって。 私は見慣れてるから、やっぱこの家は凄いんだって思った。 「いってあっしゃい」 「いってきます」 お父さんが魔法陣に魔力を流すと、パァっと周りが光って、次の瞬間には誰も魔法陣の中にいなかった。 こういうのを実際に見ると、おおファンタジーって思うね。 「ミア、ご本読む!」 鬼の居ぬ間にである。 ミアがいるからそこまでいつもと変わらないけど、今日はお母さんの心配性もない。 私、めっちゃハッピー。 「はい、今日は歴史学セイファール史ですね」 ミアの回答に、私はゆっくりと頭を振る。 鬼の居ぬ間にだからね。 今日はいつもとは違うジャンルを読むんだよ。 「まほー」 それがいい、と小声で言う。 あんまりこういうのに言い慣れてないから、ちょっと恥ずかしい。 「魔法ですか?そうですね、せめて4歳になったらお見せいたしましょう。それまでは歴史学や国文学にお励みください」 ちぇ。 ミアめ、鬼の居ぬ間になのに。 せめて4歳って、それまで私のファンタジーはお預けですか!? 鬼なことをするなぁ、ミアは。 あっ、鬼の居ぬ間にの意味って、親の居ない間にじゃなくて、ミアの居ない間になんじゃ?
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