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「お嬢様!どちらに行かれてたんですか!探しましたよ!」
メイドさんに抱っこされて戻るなり、ミアが見たこともないくらいの勢いで部屋から飛び出てきた。
あぁ、心配かけたんだね。
「あーう」
一応ごめんねと言ってみる。
分かっちゃいないと思うけど。
そして、手をミアの方に伸ばして抱っこしてポーズをする。
それに気付いたメイドさんが、私をミアの方に向けてくれた。
「もう!」
半泣きの目でミアは私を抱えて苦しいくらいに抱きしめてくれた。
いや私図書室にいただけなのに、なんで家出少女が帰ってきたみたいなことになってんのさ。
「メイド長、お嬢様はどちらにいらっしゃったのですか?」
ぐすっ、と時々言わせながらメイドさんに聞くミア。
え、このメイドさん、メイド長だったの?
お母さんが怖いといった、メイド長?
「図書室よ。私が図書室から出たときにこちらにいらっしゃったのよ。本が読みたそうだったから、お嬢様の指差した本をお渡ししたら、一刻半読んでいらっしゃったわ」
「お嬢様が?」
「ええ。それよりもミア。お嬢様から目を離すとは、どういうことでして?動けるようになったのだから、どこかへ行かれるときは付いていきなさい。次は無いわ」
メイド長の鋭い目がミアに飛ぶ。
私が部屋から抜け出したんだもん、ミアは悪くないんだよ。
そう伝えられたら楽だけど、今の私に発話能力は無い。
せめてもの講義でミアにしがみついてやった。
「はぁ。お嬢様はお疲れでしょうから、早くお休みなさい。夕食時には間に合うようにしなさい」
「はい、メイド長」
良かった、メイド長が私の言いたいことを悟ってくれる人で。
ミアを守れたんだもの。
今日の私、グッジョブ!
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