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第一章
1
歴史は、繰り返される。
古い時代の痕跡を辿り、加速しながら未来を紡いでいく。いつの日か、永遠の時を手に入れるまで繰り返されていく。
生物は、進化を続ける。
デオキシリボ核酸に刻まれた情報は、進化の糧となり徐々に矯正されていく。いつの日か、完全なる生命を手に入れるまで進化を続けていく。
全ては繰り返される……。
宇宙の至る所で同じように……。
現世を『第四の歴史』と称するようになって、早二百年が経とうとしている。様々な諸説はあるが、最新の研究に於いても四番目という数字は未だ覆ってはいない。しかし、それが何番目であろうが、今を生きる人々にとっては何の意味も無い数字であることは確かだった。地球やそれに帰属した過去の生物の生い立ちなど、一般人にとっては無意味でしかなかったのだ。
かつて、人類は未曾有の大災害に見舞われた。数々の困難を乗り越えた人々が漸く安定期を迎えられたかと安堵に包まれ始めたときだった。地球を襲った巨大隕石は五十億もの人々の生命を奪っていったのだ。
しかし、それも既に過去の事柄である。災害から約五十年が過ぎ去った現在、人類はかつての繁栄を取り戻しつつも新たな生活を営んでいたのだった。
時代は新たな幕開けを歓迎するかの如く、異常な加速度を以て進み始めていた。急激に進歩した科学は人々に安全かつ便利な社会を供与しており、数多の人間にとっては既に必要不可欠な事象になっていた。
例え、これらが何者かに意図されていたとしても、もう後戻りのできぬところまで来ていたのだった。
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