私が泣いた理由

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『私が泣いた理由。ガラスのくつをはいたら王子様に“おめでとうございます!あなたはくつがはけた三十五人目のおじょうさんです”と言われたから。三十五人の中からちゅうせんでお姫様を決めるとか言われて、くじびきに自信がなかったからです』 「むしろなんでその可能性を考えなかったのかしらね王子様!?」  うん、これはそら君を責められない。ぶっちゃけ私も心のどこかでその可能性は考えたことがある。何故、ガラスの靴がはける女の子が“シンデレラ一人しかいない”なんて思えるのだろう。シンデレラの足のサイズが24cmとか23cmとかオーソドックスなものだったなら、履ける女子が大量発生してもなんらおかしくはないではないか。何十人も履けてしまったら、王子様はどうするつもりだったのだろう。本当に抽選にでもする気なんだろうか。  だから顔は覚えておけよ、という話なのである。いや、名乗るのをすっかり忘れたシンデレラもアレだけれど。
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