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第40話 恋結びの宿に戻ることにした
優香さんはきっとまだどこかで慶太との付き合いに希望を持っていたんじゃないかな?
僕は自分の失恋よりも優香さんのことが気になっていた。
優香さんは慶太が戻ってくる気がしてたかもしれないけど、慶太は琴美と浮気して子供を作っていた。
もう僕と優香さんのところに二人が戻るとは思えなかった。
二度と顔を合わせることもないかもしれなかった。
「僕なんか買って来るよ。何か珈琲とか飲む? あとさ宿に戻ろうか?」
観光どころじゃないと思ったから。
今の状態の優香さんを連れ回したって彼女の気が晴れるとはとうてい思えなかった。
僕自身も明るく振る舞える自信はない。
「うん」
優香さんは下を向いたまま一言だけ発した。僕は優香さんを一人、車の中に残しておくのも気がかりだった。
僕たちはカフェの駐車場に停めている。
宿では昼食は出ないので軽く食べられるものがないかなと店を見た。
“テイクアウトあり”の、のぼりも立っていたのもあってとりあえず車を降りて店に向かった。
僕は「待っててね」となるべく明るい声音で優香さんに告げてから。
僕はカフェでテイクアウト用のメニューから選んだパスタとサラダとカフェオレを二人分を買い自分の車に戻った。
わずかの間で優香さんは僕の車からいなくなっていた。
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