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第41話 僕は優香さんを探す
焦った。
胸の焦りがジワリジワリと僕の全体に広がる。じとりと僕の額からは汗が吹き出していた。
出会った瞬間から優香さんは危うげで儚い感じがしてた。
一歩間違った決断をしたら…。
優香さんは自ら生きるのを諦めてしまうのではないかと僕は思っていた。
焦ってもつれてしまいそうな足どりでも僕は進み出す。
僕はあたりを見渡してとりあえずは目の前に広がる海へ砂浜へと向かう。
僕の車はカフェの駐車場に停めたままにして。
砂浜には人が何十人もいた。
その中に優香さんの姿を見つけた。
「はあ。良かったあ」
砂浜にポツンと寂しげに座る優香さんの背中に向かって「急にいなくなるからびっくりしたよ」と話しかけると優香さんは「ごめんなさい」と言って僕の方に視線を向けることなく海を見ていた。
「優香さんの元婚約者が慶太だとは思わなかったな」
僕は優香さんの隣りに腰を下ろしてわざとらしく明るく言った。
「私だって知らなかった。ねえこんなことって!…」
僕のほうをやっと振り向いた優香さんの瞳には涙がいっぱい溜まっていた。
「傷の舐め合いだって良いじゃないかな? 僕といたら優香さんの慰めにならないかな?」
「どこかでまだ慶太と修復出来ると思ってた!…」
「そうだね…」
優香さんが抱きついてきたから僕は受け止めた。
優香さんの長い髪からはフワッと花のような香りがした。
僕はぎゅうっと優香さんを強く抱きしめ返した。
「めぐり合わせを不思議に感じるよ。こんな広い世界で君の元恋人が慶太で、僕は慶太と友達だった。だけどさ僕は優香さんのこと好きになったから。慶太と琴美のことは関係なしで。良い? 今はとにかく一緒にいよう。ただ一緒にいてよ」
優香さんは僕にすがりつきながら泣いて「つらいよっ。…智史くん…つらいよ」と何度も小さく叫んでいた。
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