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第46話 ちゃんと聞かないと
ーー知らないふりをする?
いや、出来そうにもないや。
ーー優香さんに問いただす?
やっと落ち着いたところでまた優香さんを追い詰めるような真似、僕に出来んのか?
ーーもし妊娠してたら?
慶太の子だろうな。
僕はどれだけアイツに振り回されなきゃなんないんだよ。
優香さんはもし妊娠してたら僕とどうする気だったんだ?
本当のこと言ってくれる気はあったんだろうか。
真っ暗闇に放り投げだされた。
僕はドン底に落ちた。
「なんにもしたくないな。何も考えたくないな」
独りごちてみるが虚しく部屋にポツリポツリと僕の声はかき消えていった。
静かな部屋に一人でいて僕はパニックになっていた。
心が泣いていた。
「優香さんにちゃんと聞かないといけないよな」
それだけは避けられることではなかった。
こんな大事なことを聞きづらいからと言ったって、ウヤムヤにして付き合っていけるほど僕の神経は図太くはないから。
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