第一章 移住民

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「こちら管制室、規程外の当惑星ES704への接近を確認した。要件は何か」  通信域に入ったようだ。通信官の音声が聞こえてきた。どう返すか全く考えていなかった。そもそも船での通信などしたことがない。  船に搭載されたデータファイルの中からなんとか通信マニュアルを探し出し、返答を試みる。 「こちらネイク。個人船登録番号は、あー、ES601-014。目的は...避難だ」   「確認した。──あんた、601の生き残りか!生き残りがいるなんてな。こちらとしても、601の情報はあまり把握できていないんだ。突然爆発したってことしかわかってない。とにかく、歓迎するよ。ルートを送る。軌道エレベータから来てくれ」  ───ES601。コールドスリープをしていた俺にとっては、昨日まで住んでいた星だ。 爆発。そう……爆発した。 「了解。」  ルートが送られてきた。進路のほうは自動操縦に任せておけばいい。わざわざ準備するべきことは何も無い。  軌道エレベータへ辿り着く様子を、船内から眺めていた。
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