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第一章 移住民
"起床プロセス完了。バイタル正常。おはようございます"
目を開けると、無機質な金属の天井に、快適な室温。最悪の目覚めだ。重たい気分と体を起こし、ベッド横の壁にもたれかかる。わざわざコールドスリープから起こされるなんて、ろくな事じゃない。
「今の状況は?」
確認すべきことは多い。今がいつで、ここが何処か、なぜ起きる必要があったのか。あと百回は寝たい気分だが、凍結装置自体はここにはない。今頃ガラクタになっていることだろう。
"現在の日時は西暦2754年3月18日15時37分。コールドスリープ期間は77日間です。14時間前の隕石回避プロセスの結果、当船は惑星ES704に接近しています。4分後に通信域に突入いたします。"
「4分後? なんでそんなギリギリなんだ」
"コールドスリープ期間により、起床プロセス前の解凍プロセスの所要時間が変化します。90日以内のコールドスリープであるため、解凍プロセスは15分となりました"
もう少し早く、なんてことは言っても意味がないか。ベッドから立ち上がり、操縦室のドアへ向かう。
音もなく開いたドアの先には、簡易的なボタンが並んでいるだけの操縦席と、ガラス越しに見える緑と白の星があった──。
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