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( クズ ) ヒーローはストーカー
酔いはすっかり覚めた。
正気に戻るには充分なショックを受けた。
無断欠勤って。
浮気ばっかりしていたから性欲に意識が傾いて、やっていい事と悪い事の区別がつかなくなったのか。
話し合おうと泊まっていたビジネスホテルに連れて来たら、クズ彼氏は私の隣りの部屋を借りていた。
知らなかった事実に愕然となる。
「ふふ。えーちゃんに見つからないように付き纏うの大変だったんだよ」
「黙れストーカー。何なのよ、何がしたいのよ」
予定では明日帰って浮気現場を確認したら、そのままフェードアウトするつもりだったのに。
なぜ、ここに、いる。
「だってえーちゃん、俺に黙って私物を処分してたでしょ。だから俺も黙ってついて来たの。おあいこだよね」
「意味が分からない」
何だこの宇宙人は。
まるで話が通じない。
だけど、ああ……気付いていたんだ。
「分かるように説明するよ。俺はえーちゃんと離れない。絶対に結婚して一生添い遂げる」
「あのね、何度も言うようだけど、浮気しまくるクズでゲスで不誠実な男とは結婚しない。死んでも嫌だ」
「もうしない!」
「はいはい。寝言は寝て言ってね。お帰りはあちらよ。バイバイ」
話にならない。
追い出そうと扉を示したら、クズ彼氏はおもむろに服を脱ぎだした。
「えーちゃん、シよう」
「バーカ。一人で抜いてろ。もちろん隣りでだ」
「嫌。俺は今すぐ抱きたい。……生で」
「嫌はこっちの台詞。そんなにシたいなら、いつものように女を引っかけて来なよ。お手のもんでしょ」
急に盛り出した獣は、やはり病気だと思う。
生とか平気で言えちゃう辺り、女を性処理の道具だと思っている証拠だ。マジでクズ。クズ王と呼ぼうかな。
「俺の初めての生体験はえーちゃんとじゃないとダメなの! 意味ないの!」
「こら! パンツ脱ぐな! やめなって!」
見慣れた全裸だけど、堂々と披露されると見せつけられるこっちが恥ずかしくなる。しかもさ、既に臨戦態勢って。
「俺、知ってるんだよ。この出張でえーちゃんが本気で俺を捨てようとしてたことを。そうはさせないんだからね。えーちゃんの生理周期は分かってる。今日は危険日。だから、生でする。絶対にする」
ジリジリとクズ改め全裸の変態が迫ってくる。
いや、クズは改めなくてもいいか、クズ変態が今にも飛びかかる気満々なので、私は狭い部屋を逃げ回った。
「あんたアホなの?! そんな事したら子供デキちゃうかもしれないじゃない!」
「デキればいいんだよ! そうしたらえーちゃんは俺から逃げれない。離れない。ずっと一緒だ!」
「私の意思は無視なの?! どこまでクズなのよ!」
「クズは卒業だ! 今後、俺のコレは一生えーちゃんのモノだから! えーちゃんにしか入れないから! 浮気だって、最初はともかく本当はしたくなかったんだよ! でもバカだから気付かなかった! いっぱい傷付けてごめんね! 愛してる! 口先だけじゃないって分かって欲しいから生でヤるんだよ!! 俺の覚悟を思い知れ!」
キレた。
なんかキレて色々言ってるけれど。
ちょっと待って。とにかく待って。
ヤるヤらない以前に、これ、話し合いが必要じゃないの?!
「そんなの後!! 後でちゃんとキチンとしっかり話すから! 今はシよう! もう待てない! 久しぶりなんだよ。こんなに元気いっぱいビンビンに勃ち上がるのは……早くえーちゃんの中に入りたいよ。あったかくて気持ち良くて心も身体も満たされる。素晴らしい膣なんだよ。えーちゃんのは!」
卑猥な事を力一杯説明する前に、後回しにした件を先に言え! と叫ぶも、ガッチリと捕まり諦めた。
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