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ぐっ・・空気が重い
浅川さん来訪により、香織から俺に向けて闇の死ね死ねオーラが放たれ続けること30分。マグカップを持つ手は震えている。
とうの浅川さんはニコニコしながらコーヒーを啜り、色々な話をしてくれている。
浅川玲奈と言うらしい。年齢は19歳。
川崎にある美容系専門学校に通っていて、実家は山梨県のようだ。
なるほど美容系を志しているのも理解できる。
モデルだと言われたら、そうなんですねと即答するだろう。
「前に住んでたアパートが家賃値上げするーってなって。5000円も上げるって言うんです!信じらんない」
「そ、それはきついね。」
「ですよね!ここはwifi無料だし、割と駅近で安かったので決めちゃいました!」
先程から玲奈ちゃんと話てるの俺だけなんですが・・か、香織さん?
「ところでお2人はお付き合いしてるんですか?」
空気読めない子ですね分かりました
「付き合ってるんじゃないよ」
香織が俯きながらボソッと言った
「お嫁さんですけど」
おーふ・・嬉しいような何か悲しいような
何も知らない人にそれ言ったら
「え!ご結婚されてるんですか??歳の差カップル素敵です!憧れちゃいます」
そうだよねー絶対そう思うよねー
んでよからぬ設定作って、最低だこのおっさんとか
決め付けてるよねー絶対そうだよねー
「歳なんて関係ないよ!雄大さんは素敵だもん」
か、香織・・
「いえいえ。他意はありません。ほんとにそう思ってますから」
玲奈ちゃんはマグカップを静かに置くと、ゆっくり口を開いた。
「私も歳上大好きです。おじさま大好きですから」
・・なんだって
今のJD世代ではおっさんブームが来てんのか?
「そうですね・・40歳くらいの人がいいです」
きたぁぁぁどハマりじゃねぇかぁぁぁ
いいのこれ!いいの?ありなの??
いかん。ここは冷静に。冷静に。
「そ、そうなんだ。変わってるね・・」
「同年代とか歳下はなんかこう・・お子様って感じで。すぐエロい事しようとするし。通話してる時までエロい事させようとするし」
えーとたぶんそれ
世のおっさんの8割くらいがそんなんかと思いますが?
「お2人はどのくらいエッチしてますか?」
「2日に3回くらいかなー?ね?」
えーーー香織さん!
なんすかそれ!つか即答て!
一度たりともしてませんよね
何の為の虚勢なんですか
つか39歳でそのペースが事実なら、
逆におっさん最低感煽るから!
「ふふ。お元気ですね高槻さん」
あーこれ玲奈ちゃんの中の俺は鬼畜変態ロリコンおやじ確定だよ。心なしか俺を見る目に蔑みの光を放ち始めたよ。
「い、いやぁ・・まぁ・・」
玲奈ちゃんがテーブルに両ひじを付いて溜息を漏らした。
「羨ましいなぁ」
う、羨ましい?どの辺が?
「私も高槻さんみたいなおじさまと一緒になれたらな」
熱を帯びた視線をこちらに向け玲奈ちゃんはニヤっと笑った。
「いや・・俺ほんとダメなおっさんだから・・
」
それを聞いて玲奈ちゃんはすくっと立ち上がった。
「じゃあ今日はこれで失礼しますね!是非、また一緒にお茶してくださいね」
そう言うとスタスタと玄関に向かい出て行った。
な、何だったんだ
まさに嵐の様だった・・
「美人な隣人さんが増えて嬉しそうですね」
闇のオーラの放出先から、ボソッと呟く声が聞こえてくる。
「え!?いや!全然!変な子だったなぁ!」
「・・雄大さんみたいなおじさまが好きらしいですよ。一緒になりたいみたいですし。いっそお付き合いしたらいかがです?私なんかより美人で若いし。ご存知でしょうけど、私より胸大きいみたいでしたし。散々見てましたもんね。脚とかも。いやらしい目しながら。色々楽しいと思いますよ。あの子とお突き合いしたら。雄大さんが求めれば何回でもやらせてくれますよ。きっと。だって絶対痴女ですよあれ。」
え・・香織さん?
目の前にいるのは香織さんだよね??
いつも優しくて笑顔溢れる美人で優しい佐山香織さんですよね!?
「か、かおり・・落ちつ・・」
香織はゆっくり立ち上がり台所に向かった。
「ちょどうしたの!かお・・」
香織は置いてあったフルーツナイフを取り出し
舌で刃部をペロリと舐め、こちらを睨み呟いた。
「雄大さんすいません。私、あの女ぶっ殺しに行ってきます」
香織・・そんな・・
まさかまさかのヤンデレかよぉぉぉ
これまで結構いい感じのキャラだったよ!
ヒロイン丸出しって感じだったよ!
「落ち着いて!なんもないし!」
「あの女・・私の目の前で色目使って雄大さんを誘惑するとか・・」
羽交い締めにして何とか押さえつけてはいるが
こんな力あったっけ??つかほんとに香織なの
この人!?
「ぶち殺してやるー!!」
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