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香織と付き合い始めて一週間が過ぎた。
もう恋愛とは縁のない物だと思っていたのに。
人生とはわからない。何が起きても不思議ではない。
だってこんなダメなおっさんに年下激カワ彼女が出来て、偶然であっても半同棲生活をスタートさせたのだ。諦めない事だ。何事も。
ましてやモテ期到来など夢を見ているようだ。
今の俺は、美少女2人をメロメロにしてやまない
イケてるおっさんになりつつある。
「ねぇ・・あんたなんで毎日毎日、当然のようにご飯食べに来るわけ?」
始まった。ここ数日、俺の部屋で戦争が続いている。もちろん、香織vs玲奈である。
「いいじゃん。雄大がいいよーって言うんだし」
ぐわっと鋭い眼光で俺を今にも刺し殺すかのごとく睨みつける香織。もう一思いにやってくれ・・
「いいなんて言ってないでしょ!寂しい時は!って言ったんじゃん!」
「あーもう。雄大!こんなガミガミおばさんと一緒になったら後悔するよ!私にしなよ!」
バキバキと何かがへし折られる音がする。
俺の何処かの骨か?骨折られてるのか?
どうしてこんな事になった・・のだ。
香織命名、朝焼けサプライズにて見事に俺の陥落となった。晴れて俺たちは付き合う事になったわけだ。
香織は俺が出かける音で目が覚めたらしい。
こんな時間に向かうのはいつものあの場所しかない。急いで支度して後を追って、ここだって時を
見計らって飛び出してきたわけだ。
「昨日あれから何かあったんですか??」
海からの帰り道で香織が聞いてきた。
恐らく何かを察しているのだ。玲奈ちゃんが絡んでる事も。
「ん・・なんでもないよ」
「うそ。絶対なんかあります!わかります!」
またヤンデレ発症しかねん。本当の事は言わな・・
「うそついたら刺しますからね?」
全て起きた事を話しました。
目が笑ってなかったんです。
死ぬと思いました。
「なるほど」
香織は立ち止まり俯きだした。
まずい・・どの道、刺されるかも・・
「あの子も色々あるんですよね。きっと」
香織はそう言うと、少し引きつりながらも笑顔を見せて微笑んだ。無理してるのがバレバレだが、精一杯受け入れようとしてくれているのだろう。
「多分な・・何があったかはわからないけど。寂し過ぎて、自分でもよくわからない行動を取ったんだと思ってる」
「それでこれからどうするつもりです?」
香織が詰め寄って聞いてきた。
「どうするってどうもしないよ」
「曖昧な優しさを見せてると、大変な事になるかもですよ」
香織は膨れっ面で、ぷんすかしながら自転車に乗り、俺を置いて走りだした。
「か、香織!待ってくれよー」
曖昧な優しさ———。
俺が甘かった。間も無く香織の言う通りになってしまうのだった。
部屋に着くと、すでに香織がコーヒーを入れ、朝食の支度に取り掛かるところだった。
まだ膨れっ面のままで、お帰りの一言もない。
ついさっき朝陽に祝福された2人なはずなんだが・・。言っても俺が悪いんだが。
「今日は何か予定あるの?」
朝にうってつけの会話だ。話せばわかる。
だって2人は恋人だもの。・・返事がない。手だけは良く動いているのだが。
「もし、良かったらドライブとかどう?」
・・やはり返事はない。どうやら相当お怒りのようだ。どこで怒っているだろう。部屋に入れたから?接着したから?なんでもないと誤魔化そうとしたから?
こういう時はなるべく触れないのが一番だ
とか言うのは男特有の勝手な決め付けだ。
きちんと考えて、謝る時は謝る事が一番だ。
「どうぞ。召し上がれ」
タコさんウィンナーに、ベーコン目玉焼きには中濃ソース。それとコーンサラダには胡麻ドレ。
主食に白いご飯と、大根と油揚の味噌汁。
完璧過ぎる。香織は俺の好きな物しか作らない。ほんとこんな嫁さん欲しいっす。
「本当いつもありがとう香織」
香織はプイッと膨れっ面のまま横を向いて
「そんなんじゃまだまだ許さないから!」
と言った。
「どしたら許してくれますか」
ちょい意地悪かもしれないが、こう言う時どんな反応するか見てみたかった。香織は少し焦った表情で顔を赤くして、恥ずかしそうにモゴモゴしながら言った。
「キス・・してくれたら・・いいですよ」
かはっ・・120点満点。
可愛い過ぎて今、召されても後悔はない。
「じゃあ」
俺は香織の腕を引いて、少し強引に抱き寄せた。
「わわわ!まただいたん!」
本気のキスなんていつ振りか。
香織はもう目を閉じて待っている。顔が真っ赤だ。
可愛いな・・
腰に手を回し、ゆっくり顔を近づけ息を止め、
香織の柔らかい唇にそっと口づけた。
「はわわわわ・・大人です!慣れてます!変態です!」
顔から火が噴くんじゃないかと言うくらい、香織は顔を真っ赤にして照れていた。
「変態って!」
「わ、わたしで何人目ですか!その甘いキスでメロメロにした女の数は!」
えーと・・4人くらい?
あれ?
「思い出せないくらいいるんだー!変態!痴漢!キス魔!最低!」
ち、痴漢はないよ香織さん・・
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