39歳で青春するのはダメですか

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 香織と玲奈ちゃんとの半同棲生活2日目。2人の実家とは自分の部屋だったらしく、両方の部屋を行ったり来たりし続けて、どうにかご機嫌は直ったようである。  しかし・・あんな事が続けば身体がもたない。 アラフォーには堪える。それでも不思議と嫌な気はしない。美人で可愛い若い2人の子に振り回されるなど、男の本懐と言うやつだろう。  それに香織との仲が一歩進んだのも、非常に喜ばしい事だ。出来る事なら更に、更に先へと進みたいものです。ゴム買っておかなきゃ。  香織との如何わしい妄想を繰り広げ、高まってしまった息子を大人しくしようと、ロフトへ上がろとした時、香織が部屋に来た。嬉しいような、切ないような・・  「おはようございます雄大さーん!」  そう言って笑顔で近づき腕にしがみついてきた。 よしよし今日も可愛いやつだ。  「おはよ香織」  軽く頭を撫でる。香織はえへへと嬉しそうにした。するとバーンと大きな音を立てて玄関ドアが開く。玲奈ちゃんのご登場だ。  「おはよう!ゆーだーい!」  もの凄い勢いで部屋に入ってきたかと思ったら、香織を突き飛ばし、俺の腰にダイブしてきた。  「ふふーん!雄大の匂いすきー」  よしよし。今日も可愛いぞ。って違う!  「ちょ玲奈ちゃん!」  突き飛ばされた香織が、負けじと俺の首に手を回し、背中に飛びついた。  「この女狐!離れて!どっか行ってー!」  「あんたこそどっか行きなさいよ!邪魔!」  あぁ・・今日も・・か。    朝の大騒動も、玲奈ちゃんが学校に行く事で終わりを告げた。学校が長期休みになったら、毎日、一日中あんな事が続くんだろうか・・。  香織は何かぶつぶつ文句を言いながら、部屋の掃除や洗濯をしてくれている。すっかり任せっきりになってしまった。面目ない。  俺はパソコンに向かって小説を書いている。中々PV数は伸びないが、やる気は萎えていなかった。モチベーションの維持も、小説を書く時は大事な要素だ。  2人のおかげかもしれない。何せ、小説の内容は今、実際に身の回りで起きている事象を、そのまま書き起しているからだ。実はノンフィクション作品だとか、読者は夢にも思うまい。  「雄大さんコーヒー淹れましたよー」  「あっありがとう」  ミルク一杯に角砂糖一個。香織はほんと俺の好みや、好きな物なんかを覚えてくれる。いい奥さんになる事請け合いだ。  「小説どうです?順調ですか??」  「んん・・まぁね。とりあえず書いてる感じ」  「諦めちゃダメです!私みたいに!」  俺は香織のストレートな性格が大好きだ。  「ありがとう香織」  その後もお茶しながらの談笑。有意義で楽しい時間だ。香織は話し方、伝え方が上手い。身振り手振りを加えながら、表情も豊かに。頭がいいのがよく分かる。  「そうだ。クリスマスどうしようか」  カップルらしい話題を振ってみる。俺はイベント毎を大事にしない男はダメだと思う。入念な企画立案からシュミレーションを経て、不測の事態に備え、尚且つサプライズ感も忘れない。  その位はやって当たり前だ。特に彼女の誕生日、付き合い出した記念日、クリスマスの三大イベントは、若い女の子にとって大事な日に違いないのだ。  「どうしましょうか!雄大さんにお任せします!」  「オッケー。任せなさい。予定空けといてね」  「もちろんです!最優先事項ですねっ!」  とても嬉しそうだ。本気で段取りをせねばなるまい。大人のクリスマスってやつを香織と一緒に過ごしたいものだ。  「私はそれまでには仕事見つけなきゃ・・」  香織はしょんぼりしながらスマホを取り出して求人サイトを見だす。俺も再びパソコンに向かい、小説執筆を再開した。  クリスマス・・。彼氏と2人で過ごした事がない。というか彼氏がいるクリスマスは初めてだ。 何をどうしたらいいんだろう。  それに・・やっぱり期待・・するよね。 雄大さん昨日、凄く大胆に求めてきたし、 やっぱりクリスマスなら最後までって・・。  どうしよう。 私、ちゃんと雄大さんを受け入れられるかな。 それまでにちゃんと話した方が・・。でも嫌われたくない。それは絶対に嫌。  こんな時、誰か相談する相手がいればな。って玲奈なら・・。ハッ!だめ!玲奈はだめ!私、変になっちゃったよ・・。    
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