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この状況に愕然とし、夢ではないかと頬をつねるが痛みがあるのでこれは現実だと確信する。
しかし、尻尾はどうにかならないだろうか?
さっきからズボンの中で尾が折り畳まれてしまっているので痛い。
これはパンツとズボンに穴を開けるしかないか……
この尻尾よく見ると先端が少しフサフサしている。
まるでライオンの尻尾みたいだ。
だが、手の模様はヒョウだ。
身体をよく確認してみると手の先から肘くらいまで、足先から膝くらいまで毛に覆われている。
身体はヒョウ柄、尻尾はライオンでよく分からない。
それにしてもここは何処だ?
確か自分は東京の大学へ通っており、夏休みでシェアハウスから地方の実家へ帰省した。
それから夏休みを実家で過ごした後に、またシェアハウスへ戻ろうと駅へ向かう途中、本屋に寄ってそれから……
駄目だ、そこからの記憶がない。
何か手掛かりは無いだろうか?
「そうだスマホ!!」
マップで確認すれば今何処にいるのか分かる筈とスマホを取り出したのだが……
「圏外……」
マップが見られないのならせめて誰かに連絡を取りたいものだが電話もメールも一切繋がらなかった。
近くに持っていたスーツケースが落ちているのでそれを持って電波が入る場所が無いか探してみるが全く無理だった。
途方に暮れるそんな時、ケイの耳がピクリと反応した。
カサカサと誰かの足音が聞こえる。
もしかして助かるかもと期待に胸を膨らますとケイの前に二人の男が現れた。
しかし、その期待も困惑に変わる。
何故ならその男達も自分と同じ獣の身体をしていたから。
違う所があるとすれば獣の種類が異なる所か。
一人は金色の耳だから狐だろうか?
もう一人は牛なのか角まで生えていた。
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