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獣人
黒豹のような容姿の爽やかイケメンな彼はケイに興味を持っているようだった。
じっくり観察するように全身を見つめ何やらケイに話し掛けてくるが、生憎全く言葉が分からない。
けれどどうしてだろう……
何処か懐かしさを覚えた。
しかし、この状況一体どうしたらいいのだろうか?
いきなり未知の世界に放り込まれ、あまつさえ獣の体を持つ人……
彼らが何者か分からないがまるでファンタジー本で見る獣人のようだと思った。
目の前の黒豹の獣人はケイが言葉が通じないと分かると話し掛けるのを止めた。
そして、周りの獣人と何やら話している。
この黒豹の獣人はこの中で一番偉い立場なのだろうか?
それから再びケイに何か声を掛けるとケイの腕を掴んで何処へやら連れていこうとする。
「何しやがる。
離せ!!」
何処へ連れていかれるのか分からぬ恐怖と何をされるのか分からぬ不安でケイは必死に抗った。
もう嫌だ!!
帰りたい!!
誰でもいいから助けてくれ!!
泣きそうになりながら逃げようと抵抗すると黒豹の獣人はケイを自分の胸に包み込むやうに抱き寄せた。
「*******」
そして何かを囁きながら優しく頭を撫でてくる。
「…………」
まるで大丈夫だと言うような彼の振る舞いにケイは抵抗するのを止めた。
体が離れ黒豹の顔を見ると彼は優しく微笑んでそっと手を握ってきた。
「だい…じょう…ぶ」
「…………っ
日本…語……?」
たどたどしいながらも彼は確かに日本語で大丈夫と言った。
もしかしたらここは日本と繋がっているのかもしれないと希望が持てた。
「何もシナイ。
一緒に来てほしい」
彼はケイに危害を及ぼすようには感じなかったのでこのまま手を引かれて黒豹の後を着いていった。
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