220人が本棚に入れています
本棚に追加
ぼやける視界に映ったのはケイの顔を覗き込む先程の黒豹だった。
「だいじょうぶか?」
「え、あ、ああ………」
どうやら自分は気を失っていたようだ。
しかも建物の中で、ベッドに寝かせられていた。
部屋の様子を見ると中世の外国にいるみたいに感じる。
黒豹はと言うと、安堵したように笑みを浮かべた。
彼は、カタコトながらも日本語が分かるようなので色々質問してみることにした。
「なぁ、ここは何処だ?
アンタは何者だ?
この姿は一体なんだ?」
「……マテ、そんなに一気にいうな」
聞きたい事は山ほどあると質問責めするが一気に聞かれても分からないと一つずつ質問し答えて行った。
「ここはケルティマの国の診療所。
おれのナマエはノイル·ルーガ。
軍人だ。」
「ケルティマ……?
軍人……」
聞いたことのない国の名前。
やはりここは異世界なのだろう……
しかも彼は軍人だと?
自分は何処に連れていかれるのだろうか?
そもそも彼は何故日本語を話せる?
疑問は次から次へと出てきて正直何から聞けばいいのか分からない。
すると今度は黒豹、ノイルから質問を投げ掛けられる。
「お前、ナマエは?」
「……ケイ、椿……ケイだ。」
「……ケイ?
ケイは日本にいたのか?」
「……っ!!
お前、日本を知ってるのか?
だったらどうやって帰れる?
頼む、何でもいいから教えてくれ………」
まさかの日本と言うワードにケイは気持ちが高ぶった。
何でもいいから早く帰りたい。
きっといなくなったケイを両親や友人らが捜してくれている筈だから。
最初のコメントを投稿しよう!