愛がなくても謝罪はする

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「ユウトくん!なにを?」  園内の死角となる場所は水捌けが悪い、背中に泥がべっとり張り付く。すぐさま起き上がろうとするも、並ぶ樹木へ磔にされてしまう。 「なにって……この期に及んですっとぼけないで下さいよ!」  ぐっと胸元を掴まれ、キスする距離でユウトくんは言う。唇に触れられるのが怖くなり身体を固くすると、乾いた笑いを吹きかけられた。 「自惚れないで、キスなんかしない。嘘つきが移りそうだし。あなたはキス以上も気持ちがなくてもできる。嫌いじゃない程度の相手と寝られるんだ」 「……わたしは」 「あなたが傷付いた顔するな!」  脇から手を差し入れられ、熱い手に撫で回される。必死に捩っても解かれない。びくともしない。やっぱり何処かぎこちなく探り探りの指先に、わたしへの想いを拾えてしまう。 「抵抗しないの?」  挑発的に腿を撫でる。しかし、このまま行為に至ってしまえる程、彼は開き直ってはいなそう。まだわたしに期待している。 「ユウトくんがしたいようにしたらいい。気が済むようにしたらいいよ」 「そう言えば引き下がるとか思ってる?」 「わからない。ごめんなさい、こんな事に巻き込んでしまって本当にごめんなさい」 「巻き込むもなにも……これからどんどん好きになるしかないんですよ? 今だってあなたが俺の為に嘘をついてくれてるんじゃないかって思い込みたくて仕方がないんです」 「ユウトくん、わたしはそんなキレイな人間じゃないよ」 「あはは、そりゃ不倫なんかする人間がキレイなはずないでしょうが」  そのとき、ふっと寂しげな影が落ちてくる。かすめるだけのキスだった。その唇はわたしから移った嘘を拭う風に肩へ付けられる。 「旦那さんがお見舞いにくるんだよな? その時に全部ぶちまけてもいい?」 「これは保身ではなく、ユウトくんには名乗り出て欲しくない」  その時、チカッとフラッシュがたかれた。 「この写真、旦那さんに見せてもいいですか? 髪も服も乱れてて言い逃れできなそうですよ、ほら」  画面を突き付けられ、自分がどんな顔をしてユウトくんと話をしていたか把握する。
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