秋:月見の夜に夢を見る

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 その為には、奴が乗ってきた宇宙船を直さないといけない。  奴が十匹くらい詰め込めそうな大きさの宇宙船は、今、オレの部屋のクローゼットに大事にしまいこんで、再生の時を待っている。 「そういや、どうすりゃお前の宇宙船は直るんだ?」  あまりにも基本的すぎて、忘れていた事を問いかけると、奴は、即答。  星の欠片で御座います。小さいものが一つ有れば、充分で御座いましょう。  ほしのかけら。  まーた抽象的でよくわかんないものが出てきたぞ。  だが、「わっかんねーよ」ではねのけられるほど、オレも奴に対して冷たくできなくなってきた。どうやら、情が移ってしまったようだ。  だから。 「わかった、一緒に探そうな」  そう言った後、口の中に放り込んだ団子は、甘いはずなのに、心なしか苦みを帯びている気がした。
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