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家に帰ってからも、奴の泣き声が耳について離れない。窓の外を見れば、空はどんどん曇ってきて、夜になると雨が降り出した。
奴に行くあては無いだろう。くりまんじゅうみたいな奴だから、雨に濡れたらふやけちまうかもしれない。
色々考えた末、オレは傘を手に部屋を飛び出していた。
奴はいた。出会った場所からほとんど離れていないゴミ収集所に。
目に涙をためた奴に苦笑を向けて、手を差しのべる。
「……うちに、来いよ」
そうして、我が家には家族が一匹増えた。
三日後、カビた。
また三日で元に戻ったが。
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