秋:月見の夜に夢を見る

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秋:月見の夜に夢を見る

 九月の十五夜がやってきた。  満月の下、オレと奴は、庭先にテーブルを出して、月見団子とコーラ片手に月見に興じる。  くりまんじゃろと出会って半年。奴の存在はすっかり周囲の友人達の知るところとなり、家族も当たり前のように、奴の分の飯を作ってくれる。  だからこの月見にも、奴用の小さな団子と、オヤジのおちょこに注いだコーラが用意されていた。  短い両腕で一生懸命おちょこを抱えて、ごくごくとコーラを飲む奴は、炭酸がきつかったのだろう、目を白黒させている。 「ほら、口直ししろよ」  団子を差し出すと、奴はちょっとだけためらった後に、ぱくりと団子に食いつく。そしてもぐもぐごっくん、と飲み込んだ後、ペンをさらさらと、三冊目になったクロッキー帳に走らせた。  わたくしの故郷には、つきみんじゃろと云う、このお団子に似た友人が居りました。  何だか彼女を食べているような気がして、申し訳無い気持ちです。  ……目の前の団子に、奴と同じ顔が張り付いているのを想像する。  共食いレベルだな、それは。  オレが変な顔をするのに構わず、奴は話を続ける。  他にも、親友のぷりまんじゃろ、喧嘩友達のだいふくじゃろ、巨大な話し相手のきりまんじゃろも居りました。  彼女達を思い出して、懐かしくなります。
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