Side-A

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しかし、人質を取るほどの知能を持つなら最低でもSレート(クラス)の擬態獣だな。 もしかしたら、さらに上位のSSやSSSもあり得る。 最大限、警戒はしなくちゃな。 ロウガは村長から聞いた、女たちが人質を取られているという洞窟に入った。 …… 洞窟に足を踏み入れた途端、風きり音が2つロウガに向かってくる。 ロウガは瞬間、背中の大剣を抜き向かってくるそれらを斬った。 それらは金属音を洞窟に響かせながらもロウガの背後にあった岩場に激突し、動きを止める。 「おもてなしにしちゃ、品が無いな」 徐々に目が慣れてきた。 壁に激突したのはコウモリ型の擬態獣だった。 ロウガの一撃で両断されたコウモリはぎいぎいと、醜い声を上げながら霧散した。 擬態獣は基本的に死骸を残さない。 それは彼らの体を構成するのが魔力であるからだ。 魔力を使い果たすか、その供給を絶つか、頭や他の急所となる部分を貫かない限り擬態獣を倒すことは出来ない。 ロウガは体の周囲10メートルの範囲に、人の持つ生命力“剣気(けんき)“を常に張り巡らせている。 その範囲に侵入した者は、例え暗闇の死角から攻撃したとしても知覚されてしまう。 この技術を、ギルドの者たちは“操気術(そうきじゅつ)“と呼んだ。 この技の他にも実に様々な操気術があり、使用する武器『(けん)』と操気術によりロウガたちは擬態獣を屠る。
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