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「が…ぐがああっ」
激痛が両脚に奔る。
動かすことも、感覚すらもない。
ただ猛烈な熱と痛みと熱が、両脚の付け根に広がっている。
…それはロウガの両脚が切り取られたことを意味していた。
「『神脚』が無くなっちまえば、ただの人間だ」
エヴァンスは切り落としたロウガの両脚を風に乗せ、崖下に放り投げる。
「まあ、お前にしては頑張ったほうだ。褒めてやるよ」
「ぐ、ううう…」
地に這いつくばったまま痛みを必死で堪えるロウガ。脚の熱がなくなり、全身に寒気が襲いかかってきた。
血が勢いよく噴出しているのだ。
このままいたら、間違いなく出血多量で死ぬ。
だが…それでも、ロウガの眼には闘志が消えていなかった。
「くく…」
「…?」
ロウガが静かに笑い出す。
「自慢の脚を落とされて気でも狂ったか?」
「いや…初めてエヴァ兄に褒められた。…もう悔いはない…かな」
「…何を言ってやがる」
「この勝負は…勝ちこそないけど、負けもない。あんたはどちらに転ぼうが、俺と死ぬ運命なんだ」
「まさか…」
ロウガの死に際の微笑。
その微笑で、エヴァンスは顔色が変わった。
「…言ったはずだ、エヴァ兄。…アンタを殺す」
それは…師が残した、最後の想いと『剣』。
「対擬態獣…光化殲滅剣……」
『ラストウイング』
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