SIDE-F

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再び衝撃波が、山に鳴り響く。 だがそれは激しいものではなく、緩やかな…どこか神秘的な…『覚醒』とも呼べるような波動であった。 ロウガの背から光の波動が羽根のように迸る。 それはかつて師であるジナが使った時と全く同じものであった。 だが…エヴァンスはロウガの両脚を見ていた。 ロウガの両脚があった部分からも、光の波動が迸っているのだ。 まるで無くなった両脚を形づくるかのように…。 「こ、こいつ…っ!」 どこで『ラストウイング』を…!? いや…それよりも、あの操気術の生みの親であるジナでさえなし得なかった『ラストウイング』を制御して…っ!? エヴァンスは反射的に動いていた。 『ラストウイング』で光と化した者に、あらゆる物理的な攻撃は意味を為さない。 対抗するには魔法的な力。 非物理的。 『ロストゲイル』の風しかねえっ!! 最大出力の真空波を『剣』から生み出し、エヴァンスはロウガに放った。
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