SIDE-F

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風の力で飛翔したまさにその時、エヴァンスは自分とロウガの周囲50メートルほどを取り囲むように光の網が張られていることに気付く。 ロウガが先読みして仕掛けたのだろう。 恐らくこれに触れても、光化される。 …完全に光の網に囲まれ、とても脱出出来そうにない。 どういうわけか『トラベラーズクローク』の能力も発動しない。 ロウガの“領域“内だからか…!? 「クソが…こんなこともできんのかよ…っ!」 吐き捨てるようにエヴァンスが言う。 だがその言葉と同時に、ロウガの頬にもヒビが入る。 「…!」 ジナとは違った症状だ。  ジナは『ラストウイング』を制御出来ず、生命力を使い果たし身体が光と化した。 だがロウガは身体が光化しない代わりに、ぴしぴしと身体のあちこちに亀裂が入っているのだ。 そうか…! これだけの気を放出し続けているのだ。 気が…生命力が、底を尽きようとしているのだ。 その証拠にまだ『ラストウイング』を発動してから3分も立たないというのに片膝をつき、息も苦しそうだ。 光の網もやや薄れてきたような気がする。 こうなりゃ、持久戦だ。 奴が光の網を維持出来なくなれば勝利は確実。 後は飛び去って、ロウガが自滅するのを見ていればいい。 羽根の射撃は並のスピードだし、『トラベラーズクローク』の瞬間移動もあと3回ある。 怖いのはあの光の脚のみ! エヴァンスは全神経を回避に集中し始めた。
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