SIDE-F

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「く…そ……」 身体から、急速に生命力が失われていくのが分かる。流れ出る水のように急速に。 沸騰するマグマのような脈動をロウガは己の身で感じていた。 これが完全に失われた時…砂のように身体が崩れ去るだろう。 …ここで俺がエヴァ兄を仕留めねば、想像を絶する死人が出る。 ロウガは気付いていた。 恐らく…『死舞踏』という存在は、人が擬態獣に至る過程のことなのだと。 本来は擬態獣になるであろうところを、なんらかの理由で人として押しとどまっているだけの状態なのだと。 だからこそ、人の身でありながら人を超えた力を得るのだ。 この状態のエヴァンスですら『ラストウイング』無しでは止められない。 もし擬態獣として完全に目覚めてしまえば、誰がエヴァンスを止めるというのだろうか。 それはつまり…自分が負ければ、人類が絶滅することを示しているのだ。 …させてたまるか。 先生が…レグナルドさんが…アリスが…セシルが築いたこの世界を、破壊させるものか…! ロウガは最期の気力を振り絞った。
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