SIDE-F

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「があああっ!!」 気力を振り絞り、咆哮するロウガ。 先程よりも多くの羽根の射撃をエヴァンスに放つ。 だが、明らかに最初放った時よりも射撃の速度は落ちている。 回避に専念したエヴァンスを捉える事が出来ない。 …まだだ。 積み重なった疲労とダメージで、もはや『ラストウイング』を維持するのでさえ精一杯。 気を抜けば、今すぐにでもこの翼と網、そして脚は霧散してしまう。 その前に…決着(ケリ)を着ける…! エヴァンスは網が更にか弱くなっている事を確認しながら回避に専念していた。 (ロウガ)も『ラストウイング』を制御するのに手一杯なのだ。 どんどん羽根のスピードも、本人の動きも鈍っていく。 もはや網を確認しながらでさえ戦えるほどの速さしかない。 これ以上の強力な攻撃は、もう無い。 しかし、その油断と慢心が…エヴァンスの隙を生み出した。 光の網が解除される。 それを確認したエヴァンスはすぐさま飛び上がり距離を取ろうとし…ロウガの姿を見失っていた。 「…!!」 いない…!? 光輝く無数の羽根射撃のせいで気付かなかった。 それはエヴァンスを直接狙ったわけではなく…自身の姿を隠す為の、目くらましだったのだ。 エヴァンスの頭上、すぐ側まで…最期の気力を振り絞り…最大速度で移動していたロウガは、本当の意味で『神脚』となった右脚で…彼の必殺技である『天雷脚』を、エヴァンスに放っていた。 …まさに雷神の一振り。 ロウガの天雷脚は、エヴァンスの姿を光の中へと消し去った。
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