SIDE-G

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消え入りそうなほどの生命の波動。 幾ばくも残らぬ小さな塊となったそれを、見つけた。 「ロウガ…くん…」 うつ伏せに倒れていたロウガは、首だけをこちらに向けて…小さく微笑んだ。 「……アリス……か?」 「ロウガくんっ!!」 抱え起こそうとし掴んだ肩が、砂のように崩れた。 「な、何これ…!?」 「…エヴァ兄は…?」 そう言われ、アリスが周囲を見渡すが誰もいない。 「…ロウガくん、だけだよ…」 「そう…か。悪いな、心配ばかり掛けて…エヴァ兄に『ラストウイング』を使った…おかげでこのざまさ」 「…ラストウイングを…!?」 「やっぱ先生みたいに上手くはいかないよな…」 ロウガの身体が、徐々に砂となって消えゆく。 「ロウガくんっっ!!」 「なあ、アリス…一つ、頼みがある」 「何…?」 「セシルに……伝えてくれないか………………」 弱々しいロウガの最期の言葉。 僅かに漏れ出るただの音のようにしか聞こえないその願いを、アリスは確かに聞き取った。 そして…ロウガの身体は完全に崩れ去った。
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