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タコ煎餅を分け合って食べつつ、近道をしようと路地に入ると、泉とその友人が絡まれていた。
酔っ払いのおっさんに道を阻まれている。
あいつはその光景を見た瞬間に来た道を戻ろうとしたが、僕は頭の皿を叩いて引き戻した。
「こうゆう時こそ助けるべきだろ」
「名誉挽回?」
「そう。男を見せる時だ!」
「司、俺を誰だと思ってんだ?」あいつは僕に鞄を預けるとカッコつけて言った。
「俺は、エロガッパだぜ?」
あいつはそう言うと仁王立ちして腰に手を当てて、酔ったおっさんに叫んだ。
「男を見せ合おうじゃないか!!」
酔ったおっさんがあいつに目を向けると、泉たちはその隙に逃げて行った。
いざとなれば交番は直ぐ近くにある。大声を出せば何とかなりそうだ。
相手が不良グループではなく、酔ったおっさんだった事はある意味幸いだった。
「なんだ? ガキがよぉ!?」と、呂律の回らないおっさんは睨む。
見せる相手は既に去ってしまったが、あいつの威勢は強かった。
しかし、僕は勘違いをしていた。
正確にはあいつが勘違いをしていた。
あいつはおもむろにズボンとパンツを降ろそうと腰のベルトを緩めた。
僕はとっさにあいつの腰を抑えて、
「そっちを見せろとは言ってない!」
と間違いを正した。危うく見ず知らずのおっさんに別の意味で男を見せるところだった。
酔ったおっさんはあいつの行動の意味が理解出来ず、
「何が、したかったんだ?」と酔いが醒めた様子で訊ねていた。
僕らは何も言い返さず、そそくさとその裏路地を引き返して商店街を駆けて行った。
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