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生き生きと話をする彼は本当に可愛い。
彼に見とれていると隣にいる馬がふんと鼻息を鳴らした。
それに驚いた碧がビクッと身体が跳ねた。
「すみません驚かせてしまいましたね。
大丈夫ですか?」
「ぼ、僕は動物は苦手なんだ。
特にデカいのは……怖い……」
実は碧、動物全般苦手だ。
一度犬に吠えられてから苦手になった。
「そうだったんですね。
すみません知らなくて」
「いや……お、お前は怖くないのか?
もしこの馬が暴れでもしたら怪我するかもしれないのに」
馬が好きな人にとっては少し意地悪だと思うその質問に、希一は嫌な顔ひとつせず少し考えた後こう答えた。
「確かにそうかもしれませんね」
動物が苦手な人へ魅力を伝えるのってどうしたらいいんだろうと考えたとき相手の目線になって考えるのが一番いいと思った。
「確かに暴れられたらちょっと怖いかもしれません。
でもそれは馬にとって嫌なことがあったからで、普段はみんないい子です。
馬は頭がいいから人を見ます。
こうやってこっちから愛情を注いでいればその分ちゃんと応えてくれるんです」
希一はその馬を撫でながら馬への想いを語る。
それを真剣な眼差しで聞く碧。
「この子はアサギリって名前の馬なんですけど、まだ会って日も浅いのでなかなか上手くいかなくて、でも段々信頼を築けてきてこちらの想いも少しずつ伝わるようになりました」
「そうか……」
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