第七章 ほんとうの幸せ

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 部屋に入るなり、私は布団の上で横になっている蓮美に駆け寄った。 「蓮美さんっ!大丈夫ですか?」 「……雄一郎さん。来てくれたのですか?」 「当たり前じゃないか。貴女が急病だと聞いた途端、私は生きた心地がしませんでした」  私は彼女の頬を手の平でそっと撫でる。見つめる眼は今にも泣きそうになっていた。 「絵里は大げさなんです。少し眩暈がしただけですよ。おそらく風邪でもひいたのでしょう。それよりも雄一郎さん、今夜はパーティだったのではないですか?まさか飲酒運転はされていないでしょうね?」 「大丈夫です。孔雀氏のパーティではシャンパンを一口飲んで口に合わなくてやめてしまったんだ。これも虫の知らせだったのかもしれないです。おかげで酔わずにすみました。本来ならどこかで飲み直そうかと思っていたんだが、こんなことになるなんて…。飲み直さなくてよかった」  そんな二人の会話を聞きながら、絵里はそっと部屋を抜け出した。これをきっかけに、二人が互いの想いに気付いて欲しい…と思っていたのだ。 「明日は会社を休むよ、蓮美さん。念のため大事をとって旅行は早めに切り上げてくれないか?その……蓮美さんの体調も心配なのだが、どうも……貴女がいないと私がダメなのだと気付いたんだ」  私の言葉を聞き、蓮美は嬉しそうにコクリと頷いた。 「……そんなふうに言ってもらえるなんて」
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