第七章 ほんとうの幸せ

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 蓮美の瞳から涙がいっぱいに溢れていた。旅行に行くのを快く送り出してくれた雄一郎(わたし)は自分を必要としていないのではないか、とずっと沈んでいた彼女にとって、一番知りたかった胸の内だった。 「どうして泣くんですか?蓮美さんが泣くと私はどうして良いのか解らなくなってしまいます。どうか泣くのをおやめください」  私は彼女に頬を摺り寄せ、そしてキスをした。 「風邪が……伝染(うつ)ってしまいます」 「平気です。伝染(うつ)ってくれたほうが早く治るかもしれない」 「雄一郎さんが風邪をひいてしまったら、私が困ります」 「そのときは、四六時中、看病してもらえるのかな?それも楽しそうだな」 「もう…ッ!」  部屋の外からは川のせせらぎの音が聞こえていた。二人の想いがようやく重なり始めた、一夜だった。
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