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少女は泣きながら取り調べを受けていた「お巡りさんごめんなさい! お巡りさんごめんなさい!」と譫言のように涙声で延々と叫び続ける。
その間に楯は鑑識によって詳しく調べられた。楯の辺の隙間に僅かにこびりついた血液、その鑑定が行われ、少年の血液と完全に一致。
何故少年の血が楯に付着していたのか尋ねたところ、少女は泣きながら宣った。
「倒れている彼に駆け寄った時に床に置いたんです。その時に床に広がった血が付着たんです」
確かにこの言い訳は通る、だが、警察の鑑識はこれを通す程マヌケではない。少年の血に混じり、僅かながら白い塊が付着していた。
それはフケであった。無論、少年のフケである。
砂の一粒にも満たない小さなフケが、銀賞の楯こそ少年の頭を殴りトドメを刺した凶器であることを証明していたのである。
少女は泣きながら「勝手に転んで落ちた」「そんなつもりはなかった」と泣きながら宣い許しを乞う。しかし、ここまでの証拠が出ている以上は許されることはない。
少女は補導され、児童自立支援施設に送致された。その時、久々に許しを乞う嘘泣きとは違う本当の涙を流した。
それは、嘘泣きで許しを得られることが出来なかった悔し涙であった。
おわり
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