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後日、警察官は少女の友人より「あの子、彼が金賞だったから悔しがっている」と、証言を手に入れた。
それを聞いた警察官は少女が少年を突き落としたのではないかと疑いの目を向け、再度証言を求めたが、少女はまたもや泣き喚きなら嘯き許しを乞うのであった。警察官も少女の涙を前に追求の手を緩めてしまう。
少女は少年の母親からも「あの子の最後を教えて」と言われたが、ここでも泣き喚きながら嘯いた。口調は荒い、疑われているのは明白だった。
どうしてこんなに疑われなければならないのだろうか。少女は一芝居を打つことにした。何と、翌日より少年が落ちた階段のモップがけを始めたのである。踊り場に献花台もあったことで掃除をすると言う理由づけにはなる。
少女は泣きながら階段の角や面に必死にモップがけをする。その献身的な哀悼の意を示す姿に、大人たちは「あの子が突き落とすはずがない」と、すっかり騙された。そのモップがけは少年の血のシミと共に、少女が階段で転んだことを示す指紋までをも綺麗に消し去ったのだった……
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