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いらっしゃい。ここは武器屋だよ。
ふむ、なになに? この店で一番強い武器を売ってくれ?
ははーん、お前さんも町の噂を聞いてやってきたクチか。
この店に最強の武器が入荷した! 間違いない、確かにその情報を俺が流した。
あるとも、あるとも。この世で最強の武器が、ここにな。
いや、だがそいつは案外、この世の中にごろごろしているものかもしれん。そこの裏路地に無造作に転がっていたりな。
……そんな筈はない? はっは、失敬失敬。
じゃあ、その前に質問しよう、お前さん。
最強の武器って、どんなものだと考えている?
――敵を一撃で屠る? 確かに。
――どんな距離からでも殺せる? 確かに。
――逃げる敵を追いかけて倒せる? 確かに。
――敵に傷を負わせることなくやっつけられる? 確かに。
そう、今お前さんが言ったそのどれもこれもを、俺が仕入れた最強の武器は備えているのさ。すごいだろう?
そいつを見たらどんな戦士だろうとどんな賢者だろうと一発でノックアウトだ。使い方も難しくない、ただ見せつければいい。
逃げられても顔を背けられても自分からそいつを追っかけてくれるし、そもそも見せればいいから傷を負わせる必要もない。
どうだい、欲しくなったかい? ……そうかそうか。
そうだよなぁ、こんな話を聞いて、欲しくならないわけがないってもんだ。
待っていろ、今連れてくる。
お待ちどう、こいつが『最強の武器』だ。
「にゃぁ~~ん」
ぐはっ……可愛い、可愛すぎて死んでしまう……
こんな可愛いネコチャンを見せつけられたら、戦うなんてとても出来ねぇ……
はぁっ、この、つぶらな瞳にまんまるい手……ぷにぷにの肉球にピンと立った耳……
たまらん……死ぬ……
……ありゃ? お客さん、どこ行った? おーい……
おかしいなぁ、またいなくなっちまった。
こんなに最強なのに、買わずにどこに行っちまったんだか……なあ?
「にゃ~~ん」
ぐふっ……
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