*キミの身体をちゃんと

2/3
前へ
/11ページ
次へ
「あ、あのっ、理人(りひと)っ、私っ」  痛いけど……その、まで……つ、付き合える……よ?  そう言おうとして、私はこちらに流された理人の冷ややかな視線を受けて言葉に詰まる。  理人は何も言わずに私を押し倒すと膝裏を抱え上げてきて。そのせいで私は秘所を剥き出しにされたみたいな恥ずかしい格好になる。 「やっ、ダメっ! 見な……、でっ」  ジタバタもがく私の足をうむを言わせぬ力で押さえつけた理人に、ひざを布団に押し付けられてしまう。  顔の横にひざって……。  自分の今の格好を考えただけで顔から火が出そうに恥ずかしいっ。  理人のせいで自由にならない脚を、それでもジタバタさせたら「葵咲(きさき)、僕はキミの身体がどうなってるか、ちゃんと見ないといけない」って、聞いたことのないような低い声で牽制された。  理人……声こそ荒げていないけど……物凄く怒ってる?  私は今まで理人をこんな風に明確に怒らせてしまったことがなくて……。  そりゃあ、たまには彼の意に沿わないことをして、あ、今、機嫌が悪いな?って感じることはあったけれど……。  ここまで理人のことを怖いって感じる声を投げかけられたことはなかったの。 「あ、あの……、あの、ね……っ、」  いつもはのほほん、と優しい雰囲気で、私のことを何よりも優先してくれる理人が。  どんなに呼びかけても私の声に反応してくれないの。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加