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いつしか、恥ずかしい格好をさせられている羞恥心よりも、理人が私の言葉に耳を傾けてくれないことに対する焦燥感のほうが勝ってきて。
ねぇ理人、どうしたらそこから顔を上げて、私の方を向いてくれるの?
「理、人……、あの……」
恐る恐る呼びかける私を完全に無視して、理人が私の秘部を割り開くようにして中を確認する。
「……い、ぁっ」
途端、理人の指先が触れたところがピリリとした痛みを訴えてきて、私は思わず身体を強張らせた。
間近でそんなところを理人に見られていると思うと恥ずかしくて堪らないし、自分でだってしげしげと確認したわけではないそこが、どんなふうになってしまっているのか……。
婚約者とはいえ……自分以外の人にそんなところを暴かれるのは堪らなく不安で、居心地が悪くて……。
このままどこかへ消えてしまいたい気持ちになる。
「お願……、そ、んな、見、な、……でっ! 恥ずかし、の……」
膝裏にあてがわれた理人の手にそっと触れて、消え入りそうな声でそうお願いしたら、理人が「――本当、腹立つし嫌になる……」って、聞いたことのないような低い声でつぶやいてから、足を解放してくれた。
慌てて足を閉じて秘部を手で覆うようにして隠してから、「ご、ごめ、なさっ……」って涙目になったら、そっと抱き起こされて力強く抱きしめられた。
「ごめん、葵咲――。僕が怒ってるのは……キミに対してじゃ、ないんだ」
言って、もう一度私を抱く腕に力を込めると、理人が今度こそ大きく吐息を落とす。
「――ちょっと待ってね。自分でもどうしていいか分かんないぐらい頭が混乱してて。――えっと、少し……気持ちに整理つけるから……。時間、もらえる、かな? その間、このままキミを抱きしめていても、――いい?」
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