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「ここは辺獄」
その言葉は知っていた。
「リンボ。地獄ではないが、洗礼を受けていないものが死んだ後に行くところか。」
「まあ、あなたが元いらした世界ではそう定義されているようですが、実際にはここは、現世に強い未練を残した方のこられるところです。」
「未練だって・・・・そうだ。俺は俺の求めた文学を・・・・・」
「ついてきてください。あなたにお部屋が用意されています。」
「部屋？」
「ええ、あちらです。」
みると、ここを囲んだ岩山のような場所は、壁面にいくつもの窓穴があり、天然のマンションタワーのような場所になっていた。
「ここに来た人には、お一人様につき一つのお部屋をご用意するサービスがあるんです。
ああ、今のあなたは魂だけなので何も食べなくても死にませんからお食事などはご心配なく。どうぞこちらへ。」
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