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言われるがままに妖精について行くと、その場所は、薄暗い牢獄のような場所で、岩をくり抜いて作ったような穴倉の中には老若男女の姿が見られたが、皆薄淀んだ陰鬱そうな顔をしていて、とても話しかける気にはなれなかった。
「こちらです。」
木製の重い扉の付いた、俺専用だという個室に案内された。
「その中には、あなたが前世に残した未練にまつわるものが一つ入っています。それがもしかしたらあなたの魂が浮かばれるヒントになるかもしれませんよ。じゃ、せいぜい頑張ってくださいね。」
そう言うと、妖精はどこかへ消えてしまった。
仕方なしにその部屋に入ってみると、岩をくり抜いただけの殺風景な部屋の隅にポツンと置かれていたもの。
一台の、ノートパソコン。生前に俺が使っていたものだ。
電源を入れると、設定も全く同じ。なぜかコネクタもコードもないのにバッテリーが消耗されることもない。
インターネットにもつながっており、ここだけで俺は「前世」の世界と繋がれることに気づいた。
しかし、それだけで、こんな世界へ来ていったい何をどうしろって言うんだ。
魂が浮かばれるって、どういうことだよ。
憮然としたおもいで、それでもインターネットを操作していると。
一通の未読メールが。
『内密のお願い』
なんだこれは?
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