31人が本棚に入れています
本棚に追加
ベルが鳴って休み時間になった。
みんなでマリエの席に集まって
今日はどこに行こうかと相談していると、
ミカがバタバタと話に加わってきた。
「何?何の話?混ぜて混ぜてー♪♪」
ミカは元クラスメイト。
2年になるときのクラス替えで
ミカだけが別のクラスになってしまった。
なので(?) 休み時間になると、
きまって教室に遊びに来る。
「アンタのクラスは隣でしょーが。
遊びに来るのはいーけど自分のクラスで
ちゃんと繋がり作れてんの??」
「大丈夫大丈夫、上手くやってるから♪」
「あーもう、くっつくなああ、暑いしっ。」
頬杖をついてだるそうにしていたマリエに
ミカが後ろから抱きつこうとしている。
うざがられようがお構いなしのハグの嵐…
ミカ流のスキンシップだったりする。
「今日は部活がお休みなんだー
それで帰りにお茶でもどうかなって。」
「いいねー♪ 最近ゆっくり話せてなかったし。」
マリエがミカをふりほどきながら
カナの提案に賛同していると、
不意に出たミカの一言に
みんな一瞬だけ固まった。
「ユイも来るんだよね??
部活も辞めちゃったしさー
時間あるっしょー♪」
マリエとカナがミカの両脇を抱えて
私からずるずると引き離すと、
ちょっとアンタ、少しは気ぃ使いなよとか
ミカはストレート過ぎとか色々聞こえてきた。
「あ、えーと。大丈夫だから…」
ホントに吹っ切れてるんだけどなー
まだ何か顔に書いてあって
それが剥がれないまま
残ってたりするのかな…?
「お前らいつもコントみたいな事してるよなー」
いきなり話しかけてきたのは、
クラスの中で良くも悪くも
声が大きい男子ユート。
なんとなくだけどちょっとだけ
苦手なタイプだったりする。
毎度毎度遊びに来るミカは
やっぱり目立ってて…
「お前、教室来るときは「はい、どーもー」
っつって入ってきたらいいんだよ。
お笑い芸人みたいに。笑」
「…一理ある。」
「…あ?」
「ミカ & ユート」
「は?一緒にすんなし」
「いいからほらほら、スタンバイっ♪」
ミカがぐいぐいユートの背中を押して
教室から出て行って、
しばらくの沈黙のあとガラガラっと
ドアから勢いよく飛び出してきた。
ネタ合わせでもしたのかって思うくらい
ふたりの息が合っている。
「はい、どーもー♪♪
ミカ & ユートですうう」
「腕の振りが甘いっ、やり直し!」
ミカがバシッとツッコミを入れると
周りから笑いが起こった。
「おい、動画取んな!投稿すんな〜!」
ユートは茶化す男子の中に紛れていって
ミカはやり切ったって表情で戻ってきた。
マリエが感心してるのか呆れてるのか
わからない感じで手をヒラヒラさせている。
「…アンタ、あしらい方わかってんねー」
「え、何?楽しんでナンボっしょー♪」
「はい、赤の他人赤の他人。」
「えー、ひーどーいー、マリエちゃーんっ。」
「だーかーらっ、くっつくなああ!」
短い休み時間はあっという間に過ぎて、
予鈴が鳴る。
「…あっ、行くわそれじゃっ。」
「あーもー、忙しないやつ。」
「またねー♪」
世渡り上手というのか、
芸人気質というのか…
結局、何も決まってないんですけどっ。笑
最初のコメントを投稿しよう!