素直な気持ち

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素直な気持ち

夏休みもあと10日余り。 山のようにあった夏休みの課題も、 プリントを10枚ほど残すのみとなった。 これでちょっとのんびりできるかな… お気に入りのお茶を淹れて、 ちょっとつまめるお菓子を側に置いて♪ 毎月愛読しているファッション誌に手を伸ばして 久しぶりに時間に追われない、 ゆったりとした時間を満喫してみる。 「あ、このサンダルかわいい❤︎」 「このサンダルかわいい❤︎ …じゃない!  スマホの通話料がずいぶんとかかってるんだけど。  釈明会見の予定があるなら一応、聞いてあげる。」 「うう、ゴメンナサイ…///  一昨日の夜にちょっと、会話が弾んじゃって。」 「あ〜アレか。例の男の子君か。」 「…ハイ。」 リビングのテーブルをはさんで 向かい合わせに座っているお母さんの尋問が続く。 私は買ってきたお菓子とお気に入りのお茶を 我が家の財務大臣に勧めながらご機嫌を取った。 「そんなに話が弾むんだったら、  外で直に会ってくればいいじゃない。」 「用事も無いのに誘えないよ。  それも女子から誘うとか…///」 「なに変な遠慮してんの〜?  用事が無かったら、作れば い・い・の♪」 「色々あるの。相手の都合とか、距離感とかっ。」 「へー、そうなんだ♪」 お母さんは私が見ていた雑誌を手に取ると、 パラパラとめくって何ページかに目を通した。 「ちょっと、今見てるんですけどー。」 「そーんなかたい事言わないの。  あ、これこれ♪ こーゆーサンダルとか  ユイ好きそうじゃない?」 「あ、うん。それとかさっきのとか。」 「気になったモノとかさ、  ネットで買うのもいいんだけど  つい、見に行きたくなる事ってあるじゃん。」 「うん…まあ。」 「はい、口実できたー❤︎  買い物デート決定っ♪」 「今月はお祭りもあったからそんなにお金ないし。  夏場はスキンケアにも割かなきゃならないし。  お小遣い上げてください、お母様っ。」 「買わなくたっていーの♪  会う理由が欲しいんでしょ?  こーゆーのでいいんだから。」 「男子ってウインドーショッピングなんて、  いちばんめんどくさいって聞いたりするけど?」 「恋が始まった頃はねー、  いっしょにいられるだけで楽しいの♪  ホントに何でもいいくらい。」 「なんなら声聞いてたら会いたくなった←  とかゆったらイチコロだからっ❤︎」 「ハイハイ、参考にさせていただきますー。」 「もっと青春しなさいよー。  代われるなら代わりたいくらいっ♪」 「あーもう、お母さんと違って  色々慣れてないのっ///  なんか…どうしたらいいか…」 「命短し恋せよ乙女❤︎  いーなぁ、学生時代もう1回したいなぁ…  それでも好きになるのはパパだと思うけどっ♪」 「惚気話はいいってば。  パパLOVEなのはもう知ってるからっ。」 「ただのノロケじゃないですー。  私の自慢は周りに納得してもらって、  親もしっかり説得してちゃんと順序踏んで、  パパとママふたりが望んで、  愛しあってユイを産んだ事なんだから。」 「…え、てっきりデキ婚だと思ってた。」 「ヲイヲイ、まあそーゆー事だから。  恋に悩むアンタの事見てたらさー、  もう可愛くて可愛くてっ❤︎」 このあとも恋愛のレクチャーが続いた。 いや、もうお腹いっぱいデス…先輩っ。 スマホは取り上げられずに済んだ。 1回1回手短に済ませるとか 色々条件付きになっちゃったけど… ユートどうしてるかなぁ… 夜に電話、してみようかな///
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