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「ねえ、お昼そうめんでいいよね?」
「えー、またぁ?
嫌いじゃないけどちょっと多くない?」
「お中元でさー、沢山頂いちゃったのよ。
この前テレビで特集やってたからかなぁ?
世間でちょっとしたブームになってるのかも♪」
「毎回違うアレンジレシピで攻めてくるから
美味しいんだけど…さすがに飽きてきたかも。」
「こらこら、贅沢言わないの。
今日も腕に縒りをかけるからさー♪
薬味用意してくれる?」
「はーい。」
長期の出張でお父さんが不在でも
料理の手はぜんぜん抜かないお母さん。
そういえば幼稚園の頃からそうだったなぁ。
かわいいキャラ弁とか作ってくれて、
苦手だった人参とかも食べられるようになったし。
「ねぇ、たまには楽すれば?
出前とか頼んでさ。」
「毎日の積み重ねがスキルアップに繋がるの。
久しぶりに帰ってきたケイ君に
また上手くなったねって言われたいじゃない❤︎」
しまった、スイッチを入れてしまった…!
お父さんの事を名前で呼び始めると
惚気話を延々と聞かされてしまうっ///
足早にキッチンに向かうとネギと対峙する。
嗚呼、何ラウンド目だろーか…
キミとこうやって向き合うのは。
このひと夏で、刻みスキルは
けっこー上がってきた気がする。
「胃袋を掴むって言葉もあるでしょ。
家に帰ってきて飯食った時が
いちばんホッとするよとか言われたり…
キャー/// Σ❤︎」
落ち着け、マイマザー。
作業にかかったら話も止まるかもって思ったけど、
アイランドキッチンだと向き合う形になって
リビングから言葉が洪水のように押し寄せてくる。
こうなったら早いとこネギを攻略して、
マイルームに戻るしかない。
♪〜 ぷぷるぷぴぴーぱぱぱぷぷー
まるで察してくれたようなタイミングで
私のスマホがブルブルと主張を始める。
「あ、ミカちゃんだ。久しぶりー♪」
『あ、ミウ姉だー♪ こにゃにゃー♪』
わざわざスピーカーモードにして
なんで娘のスマホに出てんのっ///
わたわたと手をすすいで
急いでリビングに戻る。
「暑いねー、元気してる?」
『うんにゃー、…もう暑くて溶けそう。
あたしゃもう長くねえ…』
「はいはい、人のスマホで世間話しない。」
『あ、ユイユイだー♪ やほー☆』
「どしたの?なんかあった?」
『あー、うん。そろそろ夏休み終わりそうだけど
課題とかどうしてるかなって思って。』
「えっと…あとプリントが10枚くらい。」
『ええっ!順調過ぎっ!真面目か!
ふわ〜…もう、ダメだぁあぁ…』
苦手教科がお手上げ状態で、
困ってるみたいだった。
スマホから諦めたような
気の抜けたミカの声が聞こえてくる。
「あ、ちょうど良かった!
ミカちゃん久しぶりに遊びに来ない?
ユイったら何日かお昼に続いただけで
そうめん飽きたーって食べてくれないの。」
『ええー、ミウ姉のごはん美味しいのにっ!
じゃあ食べに行ってもいい?』
「来て来てー♪ なんなら他のみんなも呼んで
勉強会兼ねたお泊まり会とかどう?」
『にゃー❤︎ 行く行く!
じゃあカナとマリエに連絡してみるっ♪
いったん切るねー』
「あのさー、なんで私抜きで話が進んでるワケ?」
「いいじゃない、夏休みなんだから。
ちょっと違う事しましょうよ♪」
精神年齢的に近いからなのか
友達みたいな距離感で
みんなと接している。
初めてウチに来た時は揃って
ユイのお姉さん?って聞かれたもんなー
恐るべしアラサー…
将来は間違いなく美魔女って呼ばれるに違いない。
ほどなくしてミカから連絡が来て、
明日だったらみんな来られるって事で
ミウ姉主催のお泊まり会が開催される事になった。
久しぶりの女子会だー♪
って恋バナやらなんやらに
混ざる気満々な母。
お、お手柔らかにお願いします…
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