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次の日。
約束の時間より少し早い時間にカナが到着。
部活動の合宿なんかで慣れているのか、
持ち物はボストンバッグひとつに
スッキリまとめられている。
「ミウさんこんにちはー!
おじゃましまーす♪
おかーさんがコレ持ってけって。」
「わぁ、ありがとー♪ 手土産なんていいのに〜
ママさんにお礼の電話しなきゃ。
あ、適当に荷物置いてくつろいでて。
ユイー、カナちゃんに何か飲み物出してあげて。」
「はーい。カナ、いらっしゃーい♪」
「ユイちゃん久しぶりー♪ お招きありがとです。」
暑い中、歩いて来てくれるミカとマリエにも
ウェルカムドリンクができるように
カナと一緒にグラスを選んでいると、
ほどなくしてマリエも到着。
ホットパンツとキャミソールの上に
腕の透けるサマーニットを羽織って
足元はヒールの高いサンダル。
黒と白のモノトーンでまとめてあって、
なんだかモデルさんみたい。
「かわいいぃ〜❤︎」
「なんかカッコイイ…///
それにあんまり汗かいてないみたい。」
「メイクの仕方と汗を抑えるコツがあるんだー。
後でユイにも教えてあげる。」
「え、カナもカナもっ!」
「カナは部活女子じゃん。
汗はどんどん出したほうが良くない?」
「いつもマリエがゆってるTPOだよ〜///
ずっと部活やってるワケじゃないしっ。」
「ゴメンゴメン、じゃあカナも一緒に♪ 」
「うんうんっ♪ 」
それからちょっと遅れて、
大きめのキャリーバッグをゴロゴロと
響かせながら滝汗のミカが顔を出した。
「遅いぞー。」
「マリエちゃん、もう着いてたんだ。
お、ユイカナやほー♪ 」
「なんてゆーか…性格出るよねー。
一泊するだけなのになんでこんな
大荷物になるのか、謎すぎるんだけど。」
「よくぞ聞いてくれました!
じゃじゃーんっ♪ 巷で噂のゲーム機、
満点堂のHey U持ってきたんだー。」
「…ふーん、それで?」
「みんなで遊べるパーティゲームとか、
遊びながらフィットネスできたりとか!」
「ミカ、アンタの最初のクエストは
夏休みの宿題でしょーが。」
「えっ、ちょっとマリエさん?
炎天下の中歩いて来たんだよ?
ちょっと休憩しよーよ。」
「ミウさんがエアコンきかせてくれてる。
すぐに始められる快適空間になってるから♪」
「いやいや、そうなんだけどさっ。
水分補給!そう、水分補給しなきゃダメじゃん!」
学校で見慣れたやり取りが始まったところで
お母さんが電話を済ませて戻ってきた。
お母さんも長電話じゃん。
私がボソッと呟くと、頂き物のお礼の電話なんだから
それとこれとは別なの。と一蹴された。
「ミカちゃんいらっしゃーい。
マリエちゃんもようこそ♪
冷たい飲み物すぐに持ってってあげるから、
しっかりガンバってねー♪ 」
「えぇ〜……」
「ミカはちょっとマイペースなトコ、
あるもんねー。」
「カナうるさい。アンタだって部活とかで
進捗良くないっしょ??」
「部活の合宿の時に先輩に教えてもらったりして
苦手なトコから終わらせたから〜…
あとはそんなに大変じゃないかなぁ。」
「えぇ〜……」
「じゃあ、応接間お借りしますね。
ほら、ミカ行くよ。」
「えぇ〜……」
ふすまが閉められてマリエの個別指導が始まった。
早くノート出してとか、
スマホは預かりまーすとか聞こえてくる。
私とカナは顔を見合わせて
吹き出しそうになるのを堪えながら
リビングで教材を広げた。
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