パンケーキから始まる小さな物語

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パンケーキから始まる小さな物語

小さいながらも三段に重ねられた パンケーキの上にこぼれ落ちそうなくらい 乗っかっているフルーツ達を白いクリームが なんとか落ちないように繋ぎ止めているような なんだろう、語彙力がまるで追いつかない キラキラしたスイーツが運ばれてきた。 「…全部乗せだ。」 「カナ、丼物じゃないんだから。言い方ぁ。」 圧倒的な存在感を醸し出すスイーツを前にして、 思わず呟いたカナに冷静に返したマリエも 目をキラキラ輝かせている。 「これ食べたら何キロくらい  走らなきゃ〜とか今思ったっしょ?」 スイーツを凝視していた私に ミカから鋭い指摘がっ… 「あ、ううん…美味しそうだなーって♪」 「そうそう。記録ばっか追いかける日々から  離れたんだからさ、純粋に楽しめ楽しめー♪」 ファーストフードもありきたり、 駅前のカラオケ店のスイーツも制覇していた。 そんな四人がブラブラ歩いて偶然見つけた 古ぼけた小さな喫茶店に入ってみたら スゴいスイーツに出会ってしまった。 「…あのさ、ちょっとおかしくない?」 パンケーキをめいっぱい堪能して ひとごこちついた頃、 スマホをいじっていたマリエが 声のトーンを落として問いかけてきた。 8b3f08ef-0521-401f-8261-5a6ba748bd9e 「口コミ見てみようと思って  さっきから探してるんだけどこの店、  食*ログとかに載ってないんだけど。」 「そういえば他にお客さん来ないね…」 「きっと隠れた名店なんだってー♪」 お店に入った時、独特の雰囲気は感じた。 なんてゆーかしばらく使われていないような、 街の喧騒から完全に切り離されてるような… 隠れ家的なお店が好きな人には たまらないだろうけど、 それ以上の静けさがあった。
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